認知症の介護費 2
成年後見制度を利用するのは、土地や建物の売却をはじめ、不動産に関する問題を解決したいという場面が多いようです。具体的には、今後の親の生活費が年金だけでは不足するので本人の不動産を処分したい場合などです。ただし、息子や娘が判断能力を失った親を思って不動産を利用したいとはいえ、実現される内容が本人の利益にかなうものかどうかという視点で法律上は判断されます。
たとえば上記の事例でいうと、母親の不動産を売却して得たお金を母親の施設での生活資金にあてる、ということですから、一見、問題がないようにも思えます。ところが、母親の立場になると、施設を出された場合に帰る家を失うことになってしまいます。この点を家庭裁判所がどのように判断するかはケースによってまちまちになります。